WindowsのPCでプログラミングを学ぶためには、各言語の開発環境を構築する必要があります。本記事では、Windows PCで各言語の開発環境を構築する方法と、言語ごとにHello Worldを画面表示させるコードを紹介します。
目次
Javaの開発環境構築
Javaは、Windows PCで最も人気のある言語の1つです。Javaを実行するためには、Java Development Kit(JDK)をダウンロードする必要があります。
構築手順
1.JDKをダウンロードしてインストールします。
Oracleの公式サイト
https://www.oracle.com/java/technologies/javase-downloads.html
公式サイトからJDKをダウンロードできます。
ダウンロードしたインストーラを実行し、指示に従ってインストールしてください。
2.コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行します。
javac HelloWorld.java
java HelloWorld
3.以下のコードをHelloWorld.javaという名前のファイルに保存します。
public class HelloWorld {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("Hello, world!");
}
}
4.コマンドプロンプトに”Hello, world!”と表示されたら、Javaの開発環境構築が完了です。
Pythonの開発環境構築
Pythonは、シンプルで扱いやすい言語であり、Windows PCでの開発に最適です。Pythonを実行するためには、Pythonのインストーラをダウンロードする必要があります。
構築手順
1.Pythonをダウンロードしてインストールします。
Pythonの公式サイト
https://www.python.org/downloads/
公式サイトからJDKをダウンロードできます。
ダウンロードしたインストーラを実行し、指示に従ってインストールしてください。
2.コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行します。
python HelloWorld.py
3.以下のコードをHelloWorld.pyという名前のファイルに保存します。
print("Hello, world!")
4.コマンドプロンプトに”Hello, world!”と表示されたら、Pythonの開発環境構築が完了です。
C++の開発環境構築
C++の開発環境を構築する前に、コンパイラが必要です。Windows PCには標準でコンパイラが搭載されていないため、コンパイラを手動でインストールする必要があります。
コンパイラとは?
コンパイラとは、プログラミング言語で書かれたソースコードを、機械語やバイナリコードに変換するソフトウェアです。コンパイラは、ソースコードを受け取り、構文解析や意味解析を行い、その結果を基に機械語やバイナリコードを生成します。
コンパイルは、プログラムを実行する前に必要な変換作業であり、プログラマが書いた高水準言語のコードを、コンピュータが理解できる機械語のコードに変換することで、コンピュータが実行できるようにします。
一般的に、コンパイラは静的な型付けを行う言語(C言語、Java、C#など)に使用されます。一方、動的な型付けを行う言語(Python、Ruby、JavaScriptなど)では、コンパイラに代わってインタプリタが用いられることが多いです。
コンパイラは、プログラムの品質を高めるための静的解析や最適化機能も備えており、コンパイル時にエラーや警告が検出されるため、プログラマが修正することができます。また、コンパイル済みのバイナリコードは高速に実行できるため、プログラムの実行速度を向上させることができます。
コンパイルとは?
コンパイル(Compile)とは、プログラムを実行可能な形式に変換する作業のことを指します。
プログラムは、人間が理解しやすいプログラム言語で書かれていますが、このままではコンピュータが理解できません。そこで、プログラムを機械語(バイナリコード)に変換する必要があります。
この変換を行うことで、プログラムを実行することができます。変換の手順は、プログラム言語のソースコードを読み込み、構文解析、意味解析、最適化、コード生成の各段階を経て、最終的に機械語に変換されます。
コンパイルの利点は、一度変換されたバイナリコードは再利用できるため、同じ処理を繰り返す場合に高速に実行できることです。また、コンパイル時にエラーや警告が検出されるため、問題を事前に発見することができます。
ただし、コンパイルにはデメリットもあります。コンパイルに時間がかかるため、開発者はコードの変更や修正を行うたびに再度コンパイルをする必要があります。また、プログラムの移植性が低いため、異なるプラットフォームで実行する場合は、プログラムを再コンパイルする必要があります。
インタプリタとは?
インタプリタ(Interpreter)とは、プログラムを実行する際に、ソースコードを直接実行する方式のことを指します。
プログラムを実行するためには、プログラムを実行可能な形式に変換する必要があります。コンパイラによってバイナリコードに変換する方法がありましたが、インタプリタは、プログラムを直接実行することができます。
具体的には、インタプリタは、ソースコードを1行ずつ読み込み、解釈しながら実行します。そのため、プログラムの実行には、ソースコードの解釈に必要な時間がかかります。また、同じ処理を何度も繰り返す場合、都度解釈するため、処理速度が遅くなる傾向があります。
一方、インタプリタの利点は、プログラムの実行中にエラーが発生した場合に、その場でエラーを表示して止めることができることです。また、プログラムを実行するために特別な変換作業が不要なため、プログラムの開発が容易になる場合があります。
一般的に、Python、Ruby、Perl、JavaScript、PHPなどのスクリプト言語は、インタプリタ型言語として知られています。このため、これらの言語の開発では、コンパイラによる変換作業は必要ありません。ただし、一部の言語では、実行速度を向上させるために、バイトコードという中間形式に変換することがあります。
構築手順
1.Visual Studioをダウンロードしてインストールします。Visual Studioは、C++を含む多くのプログラミング言語に対応した統合開発環境です。Visual Studio Community Editionは、個人での利用に限り無料で利用できます。
2.Visual Studioを起動し、”新しいプロジェクト”を選択します。
3.”Win32 コンソール アプリケーション”を選択し、プロジェクト名を入力して、”作成”をクリックします。
4.”ソース ファイルの追加”をクリックし、新しいソース ファイルを追加します。
5.以下のコードをmain.cppという名前のファイルに保存します。
#include <iostream>
using namespace std;
int main() {
cout << "Hello, world!" << endl;
return 0;
}
6.プロジェクトをビルドし、実行します。”Hello, world!”というメッセージが表示されれば、C++の開発環境構築が完了です。
JavaScriptの開発環境構築
JavaScriptは、Web開発に広く使用される言語です。JavaScriptを実行するためには、WebブラウザかNode.jsが必要です。以下に、Node.jsを使用してJavaScriptの開発環境を構築する手順を紹介します。
構築手順
1.Node.jsをダウンロードしてインストールします。
Node.jsの公式サイト
https://nodejs.org/ja/
公式サイトからダウンロードできます。
2.コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行します。
node HelloWorld.js
3.以下のコードをHelloWorld.jsという名前のファイルに保存します。
console.log("Hello, world!");
4.コマンドプロンプトに”Hello, world!”と表示されたら、JavaScriptの開発環境構築が完了です。
Rubyの開発環境構築
Rubyは、シンプルで扱いやすいプログラミング言語として広く使用されています。以下に、Rubyの開発環境を構築する手順を紹介します。
構築手順
1.Rubyをダウンロードしてインストールします。
Rubyの公式サイト
https://www.ruby-lang.org/ja/
公式サイトからダウンロードできます。
2.コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行します。
ruby HelloWorld.rb
3.以下のコードをHelloWorld.rbという名前のファイルに保存します。
puts "Hello, world!"
4.コマンドプロンプトに”Hello, world!”と表示されたら、Rubyの開発環境構築が完了です。
PHPの開発環境構築
PHPは、ウェブ開発に広く使われるスクリプト言語です。以下に、PHPの開発環境を構築する手順を紹介します。
構築手順
1.PHPをダウンロードする
PHPの公式サイトから、最新版のPHPをダウンロードします。Windows用のバイナリが用意されているので、ダウンロードしてください。PHPのバージョンによっては、VC15、VC16というVisual Studioのランタイムが必要になる場合があります。インストールにあたっては、必要なランタイムもインストールしておくことをおすすめします。
2.PHPをインストールする
ダウンロードしたPHPのバイナリを解凍し、適当なフォルダに配置します。次に、PATH環境変数にPHPのインストール先を追加します。Windowsの場合は、システム環境変数の「Path」に、PHPのインストール先のパスを追加してください。
3.Webサーバーをインストールする
PHPを使うには、Webサーバーも必要です。Windows向けには、ApacheやNginxなどのWebサーバーがあります。本記事では、Apacheを例に説明します。
3-1.Apacheをダウンロードし、適当なフォルダに解凍します。
3-2.次に、Apacheをインストールします。
3-3.Apacheの「httpd.conf」ファイルを編集し、以下のように「mod_php」を有効にします。
LoadModule php_module "C:/php/php8apache2_4.dll"
AddHandler application/x-httpd-php .php
PHPIniDir "C:/php"
4.Apacheを起動する
Apacheを起動します。Apacheを起動した状態で、http://localhost/ にアクセスすると、Apacheのデフォルトページが表示されます。
5.以下のように、index.phpというファイルを作成します。
<?php
echo "Hello World!";
?>
6.このindex.phpファイルを、Apacheのドキュメントルート(通常は「C:/Apache24/htdocs」)に保存します。
7.Apacheを起動した状態で、http://localhost/index.php にアクセスすると、「Hello World!」というメッセージが表示されます。
PHPの開発環境構築(XAMPPの場合)
PHPは、ウェブ開発に広く使われるスクリプト言語です。以下に、XAMPPを使用したPHPの開発環境を構築する手順を紹介します。
XAMPPとは?
XAMPP(ザンプ)とは、Apache、MySQL、PHP、Perlなどのオープンソースのウェブアプリケーションを簡単にインストールして実行することができるソフトウェアパッケージです。
XAMPPは、クロスプラットフォームで動作するため、Windows、macOS、Linuxなど、さまざまなオペレーティングシステムで利用することができます。また、インストールが簡単で、ウェブサーバーの設定やPHPの設定などを自動的に行ってくれるため、初心者でも簡単にウェブアプリケーションの開発環境を構築することができます。
XAMPPには、以下のような主要なコンポーネントが含まれています。
- Apache:ウェブサーバーソフトウェア
- MySQL:データベース管理システム
- PHP:スクリプト言語
- Perl:スクリプト言語
- OpenSSL:セキュリティ通信プロトコル
これらのコンポーネントが一括でインストールされるため、ウェブサーバー、データベースサーバー、プログラミング言語などを一度に構築することができます。
XAMPPを使うと、開発者は自分のパソコン上で、PHPやMySQLなどの言語を使ったウェブアプリケーションを簡単に開発することができます。また、XAMPPは、ウェブサイトやアプリケーションをローカル環境でテストすることもできます。そのため、開発者は、ウェブサイトやアプリケーションの機能やレイアウトを試すことができます。
ただし、XAMPPを使う場合は、開発中のウェブサイトやアプリケーションを、インターネット上に公開しないように注意する必要があります。XAMPPは、開発環境を構築するためのツールであり、セキュリティの面で問題がある可能性があるためです。
構築手順
1.XAMPPのダウンロード
XAMPPの公式サイト
https://www.apachefriends.org/jp/index.html
公式サイトから自分のOSに合ったXAMPPをダウンロードできます。
ダウンロードしたインストーラを実行し、指示に従ってインストールしてください。
インストールの際には、PHPやApache、MySQLなどをインストールするかどうかを選択します。
2.XAMPPの起動
インストールが完了したら、XAMPPを起動します。XAMPPのコントロールパネルが表示されるので、ApacheとMySQLを起動します。起動すると、ローカルでWebサーバーとデータベースサーバーが利用できるようになります。
Apacheを起動してエラーが起きた場合
Apacheを起動してエラーが起きた場合は、ポート番号が他のツールと重複しています。
特に多いのがSkype(スカイプ)との衝突です。
※ Apacheの既定のポート番号は80番です。
その場合はポート番号を変更します。
- XAMPP Control Panelを開き、Apacheの”Config”ボタンをクリックします。
- “httpd.conf”を選択し、エディタでファイルを開きます。
- ファイルを検索し、以下の行を見つけます。
Listen 80 - この行の80を、使用可能な別のポート番号に変更します。例えば、ポート8080を使用する場合は以下のように変更します。
Listen 8080 - ファイルを保存して閉じます。
- XAMPP Control Panelで、Apacheを停止し、再起動します。
これで、Apacheのポート番号が変更され、ポート番号の衝突が解消されます。ただし、変更したポート番号を使用する場合は、Webブラウザーで”http://localhost:8080“のように、変更したポート番号を含めたURLを使用する必要があります。
3.ファイルの作成
テキストエディタなどを使って、以下のコードを記述し、hello.phpという名前で保存します。
<?php
echo "Hello World!";
?>
4.Webブラウザで表示
XAMPPのインストールディレクトリにあるhtdocsフォルダに、先ほど作成したhello.phpを保存します。その後、Webブラウザで「localhost/hello.php」とアクセスすると、画面に「Hello World!」と表示されます。
開発環境構築にあたって気を付ける点やよくつまづく点
- バージョンの確認
使用する言語やフレームワーク、ライブラリなどのバージョンを確認し、互換性がある環境を構築する必要があります。特に古いバージョンのライブラリを使用している場合は、環境構築に失敗する可能性があります。 - ポート番号の衝突
複数のサーバーを起動する場合、ポート番号が重複していないか確認する必要があります。ポート番号が重複すると、サーバーが正常に起動せずエラーが発生するため、注意が必要です。 - パーミッションの設定
開発環境の構築にあたっては、ファイルやディレクトリのアクセス権限を設定する必要があります。アクセス権限が不適切に設定されていると、ファイルの読み書きができなくなるため、注意が必要です。 - セキュリティ対策
開発環境はローカル環境であっても、セキュリティ対策が必要です。特に、公開しないように注意し、パスワードや認証情報を外部からアクセスできないようにすることが重要です。 - エラーへの対応
環境構築の過程でエラーが発生することがあります。エラーが発生した場合には、エラーメッセージを読み解き、解決するために必要な情報を収集することが重要です。
以上が、開発環境構築にあたり気を付ける点やよくつまづく点です。開発環境構築には多くの工程があり、ミスやエラーが起こることがありますが、問題が起きた場合には冷静に対処し、解決策を見つけることが重要です。
まとめ
今回は、WindowsのPCで各言語の開発環境を構築する方法と、言語ごとにhelloworldを画面表示させるコードについて紹介しました。
プログラミング初心者の方は、まずは各言語の開発環境を構築して、helloworldを画面表示させることから始めてみましょう。
また、プログラミングを楽しむことができるよう、継続的に学習していくことが大切です。
最後に、各言語にはそれぞれ独自の文法や構文があります。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、繰り返し練習をすることで、徐々に慣れていくことができます。また、プログラムを書く際には、エラーメッセージを読み解くことが重要です。エラーメッセージを理解することで、プログラムのバグを見つけ、修正することができます。プログラミングを楽しんで、自分なりのアプリケーションやツールを作り上げていってください。